食べ物を大切にする暮らし:家族で実践するフードロス削減と食育のすすめ
私たちの食卓は、心身の健康を育むだけでなく、地球環境にも深く関わっています。「コンシャス・イート」では、意識的な食の選択を通じて、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えております。今回は、多くのご家庭で身近な課題となりうるフードロスに焦点を当て、家族みんなで無理なく実践できる削減策と、食育への繋げ方についてご紹介いたします。
フードロスとは、まだ食べられる食品が捨てられてしまうことを指します。これは食材の無駄遣いになるだけでなく、生産から廃棄に至る過程で地球環境に大きな負荷をかけています。しかし、ご家庭でのちょっとした工夫が、この大きな問題解決への一歩となります。
フードロス削減の第一歩:買い物と計画の工夫
食材を無駄にしないためには、買い物の段階から意識的な選択が重要です。
- 買い物前のリスト作成と在庫確認: 冷蔵庫や食品庫の在庫を確認し、必要なものだけをリストアップして買い物に出かけましょう。これにより、重複買いや衝動買いを防ぎ、使いきれない食材を減らすことができます。
- 適切な量の購入: 特に日持ちしない生鮮食品は、家族が食べきれる量を見極めて購入することが大切です。スーパーマーケットでは、少量パックの活用も検討できます。
- 見切り品や規格外品の活用: 品質には問題がないものの、見た目や賞味期限が近いことで安価になっている商品を見かけることがあります。これらを積極的に購入することは、食費の節約になるだけでなく、フードロス削減にも貢献します。
食材を無駄にしない保存術
購入した食材を長持ちさせるための適切な保存方法は、フードロス削減の鍵となります。
- 冷蔵庫・冷凍庫の整理整頓: どこに何があるか一目でわかるように整理することで、食材の存在を忘れず、使い忘れを防げます。
- 食材に合わせた保存方法:
- 野菜: 種類によって適した保存方法が異なります。例えば、葉物野菜は湿らせた新聞紙で包んで冷蔵庫に立てて保存、根菜類は冷暗所で保存するなど、特性に合わせた工夫をしましょう。
- 肉・魚: 購入後すぐに小分けにしてラップで包み、冷凍保存することで鮮度を長く保てます。下味をつけてから冷凍すれば、調理時間の短縮にも繋がります。
- 常備菜: 作った料理は清潔な保存容器に入れ、粗熱をとってから冷蔵または冷凍保存します。いつ作ったかを記しておくと、使い忘れを防げます。
- 期限表示の理解: 食品には「消費期限」と「賞味期限」の二つの期限表示があります。「消費期限」は安全に食べられる期限を示し、過ぎたら食べない方がよいとされています。「賞味期限」は美味しく食べられる期限を示しており、この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。ご自身の判断で、色や匂いを確認し、食べられるかどうかを判断する意識が大切です。
調理で実践するフードロス削減
日々の調理においても、食材を使い切る工夫を取り入れることができます。
- 食材の使い切りレシピ: 野菜の皮や芯、魚のアラなども、工夫次第で美味しくいただけます。例えば、野菜の皮はきんぴらに、アラは出汁を取るのに活用できます。インターネット上には、多様な使い切りレシピが公開されています。
- 適量調理の意識: 家族の人数や食欲に合わせて、作る量を調整しましょう。どうしても余ってしまった場合は、翌日のリメイク料理や冷凍保存を前提に考えることも有効です。
- 作り置きとリメイク: 週末にまとめて作り置きをすることで、平日の調理時間を短縮できるだけでなく、計画的に食材を使い切ることに繋がります。残った料理は、カレーをドリアに、煮物を炒め物にといった形でリメイクすることで、飽きずに楽しめます。
家族で楽しく学ぶ食育の機会として
フードロス削減の取り組みは、子供たちに食べ物の大切さや環境問題を教える貴重な食育の機会にもなります。
- 買い物から参加: 子供と一緒に買い物に行き、旬の食材や産地について話したり、食材を選ぶ手伝いをしてもらったりすることで、食べ物への関心を高めることができます。
- 調理への参加: 安全に配慮しながら、簡単な調理工程(野菜を洗う、混ぜるなど)を子供に任せることで、食への感謝の気持ちや、食べ物ができるまでの過程を学べます。
- 食べ物の来歴を知る: 食材がどこから来て、どのような過程を経て食卓に並ぶのかを話すことで、食べ物を作る人々の苦労や、命をいただくことへの感謝の気持ちを育むことができます。
- 家庭での実践例:
- 食べ残しを減らすための声かけや、残した理由を一緒に考える機会を持つ。
- 家庭菜園で野菜を育てたり、コンポスト(生ごみを堆肥にする容器)を活用したりして、食べ物の循環について体験的に学ぶ。
まとめ
フードロス削減は、一見すると大きな課題のように感じられるかもしれませんが、日々の生活における小さな意識と行動の積み重ねが、大きな変化に繋がります。買い物、保存、調理、そして食卓でのコミュニケーションを通じて、家族の健康を守り、食費を抑え、地球環境にも配慮する「意識的な食の選択」を実践することは十分に可能です。
今日からできることを一つずつ、家族みんなで楽しみながら取り組んでみてはいかがでしょうか。食べ物を大切にする暮らしは、私たちの心と体を豊かにし、持続可能な未来へと繋がる確かな一歩となります。